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Jan 27, 2026
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好きなことではなく、得意なことを見つける

仕事は「好き」ではなく「得意」で選ぶべきである。得意なことは自然と好きになるが、好きなことが得意になるとは限らない。

「好きなことを仕事にしよう」という言葉をよく耳にします。一見すると素晴らしいアドバイスのように聞こえますが、筆者はこの考え方に疑問を持っています。むしろ「得意なことを見つけて、それを仕事にしよう」という順番の方が、多くの人にとって幸せな人生につながると考えています。

「好き」と「得意」は全く違う

まず、「好きなこと」と「得意なこと」は全く別物であることを理解する必要があります。

「好きなこと」とは、やっていて楽しいと感じること、興味があることです。ゲームが好き、音楽が好き、サッカーが好き、といったものです。一方「得意なこと」とは、他の人よりも上手にできること、少ない努力で成果が出せることです。

好きなことが得意とは限りません。サッカーが大好きでも、プロ選手になれる人はごく一部です。ゲームが好きでも、プロゲーマーとして生計を立てられる人は限られています。「好き」という気持ちだけでは、残念ながら仕事として成り立たないことが多いのです。

一流になるには才能が必要である

ここで、少し厳しい現実について話をします。どんな分野であっても、一流になるためには才能が必要です。

ここで言う「才能」とは、生まれ持った素質やポテンシャルのことです。そして「得意なこと」とは、その才能が発揮されている状態を指します。つまり、得意なことを見つけるということは、自分に才能がある分野を見つけるということと同じ意味です。才能があるから得意になる、という関係なのです。

「努力すれば何でもできる」「諦めなければ夢は叶う」という言葉は美しいですが、残念ながら現実はそう単純ではありません。身長が160cmの人がどれだけ努力しても、NBAのスター選手になることは極めて難しいでしょう。音感がない人がどれだけ練習しても、世界的なピアニストになることは現実的ではありません。

これは決して「努力に意味がない」と言いたいのではありません。努力は絶対に必要です。しかし、努力だけでは超えられない壁があることも事実です。才能がある人が努力をしたとき、初めて一流への道が開かれるのです。

才能がない分野でいくら頑張っても、その分野で一流になることは難しい。この現実を受け入れることは、決してネガティブなことではありません。むしろ、自分の人生を有意義に使うために必要な認識です。才能がない分野に固執して時間を浪費するよりも、自分に才能がある分野を見つけてそこに力を注ぐ方が、はるかに賢明な選択です。

ここで覚えておいてほしいのは、全ての分野で才能がある人は存在しないということです。どんなに優れた人でも、得意な分野と苦手な分野があります。世界的なサッカー選手が、必ずしも優れた野球選手になれるわけではありません。天才的なプログラマーが、必ずしも絵が上手いわけではありません。

だからこそ、大事なのは「自分はどの分野なら戦えるか」を把握することです。苦手な分野で無理に戦う必要はありません。自分が戦える土俵、自分の才能が活きる場所を見つけること。それが、人生を豊かにするための重要な戦略なのです。

才能を探索できるのは学生時代の特権

自分の才能や得意なことはどうやって見つければよいのでしょうか。ここで強調したいのは、時間をかけて才能を探索できるのは学生時代の特権であるということです。

大人になると、生活のために働かなければなりません。毎日8時間以上を仕事に費やし、家事や育児などの責任も増えていきます。「自分の才能は何だろう」とゆっくり探している余裕はなくなります。新しいことに挑戦しようと思っても、失敗したときのリスクが大きくなります。家族を養っている人が「やっぱり自分には向いていなかった」と簡単に仕事を辞めることはできません。

一方、学生時代はどうでしょうか。時間があります。責任も限定的です。失敗しても、やり直しがききます。様々なことに挑戦して、上手くいかなくても「これは自分には向いていなかった」と学びに変えることができます。

この貴重な時期を、自分の才能を見つけるために使わない手はありません。学生時代に色々なことを試して、自分の得意分野を見つけておくことで、大人になってからの人生設計がずっと楽になります。逆に、学生時代を漫然と過ごしてしまうと、大人になってから「自分は何が得意なのかわからない」という状態で社会に出ることになります。これは非常にもったいないことです。

どうやって得意なことを見つけるか

具体的に、得意なことを見つけるためにはどうすれば良いのでしょうか。答えはシンプルです。とにかく色々なことを経験することです。

得意なことは、やってみなければわかりません。自分では気づいていない才能が、思わぬところに眠っていることがあります。絵を描いたことがない人は、自分に絵の才能があるかどうかわかりません。プログラミングをやったことがない人は、自分がプログラミングに向いているかどうかわかりません。楽器を触ったことがない人は、自分に音楽の才能があるかどうかわかりません。

12歳という年齢は、様々なことに挑戦できる最高の時期です。勉強、スポーツ、音楽、美術、プログラミング、料理、工作、読書、将棋、など、できるだけ多くのことに触れてみてください。学校の授業だけでなく、部活動、習い事、趣味など、あらゆる機会を活用しましょう。

その中で「あれ、これは他の人より上手くできるかも」「これは苦労せずにできるな」「周りの人より早く上達している気がする」と感じるものがあれば、それがあなたの才能がある分野かもしれません。そう感じたら、その分野をさらに深掘りしてみてください。

また、他の人からのフィードバックも重要です。自分では普通だと思っていることが、実は他の人から見ると特別な才能であることがあります。「それ、すごいね」「どうやってやるの?」と言われることがあれば、それはあなたの得意分野かもしれません。周りの人の反応にも注意を払ってみてください。

漫画「アオアシ」から学ぶ

この「得意を見つけることの重要性」を非常にわかりやすく描いている作品があります。サッカー漫画の「アオアシ」です。

主人公の青井葦人(あおいアシト)は、サッカーが大好きな少年です。地元では目立つ選手でしたが、ユースチームに入ると、自分より上手い選手がたくさんいることに気づきます。好きなだけでは通用しない世界です。

彼が本当に成長するきっかけとなったのは、自分の「得意なこと」を見つけたときでした。視野の広さ、空間認識能力という、他の選手にはない自分だけの武器を見つけ、それを活かせるポジションで活躍することで、彼は飛躍的に成長していきます。

「アオアシ」には、才能の厳しさも描かれています。どれだけ努力しても、才能がある選手には勝てない場面。自分の限界に直面し、苦悩する選手たち。しかし、その中で「自分には何ができるのか」「自分の武器は何か」という問いに向き合い、自分だけの道を見つけていく姿が描かれています。

サッカーに興味がなくても、ぜひ読んでみてください。「好き」だけでは一流になれないこと、自分の「得意」を見つけることの重要性について、深く考えさせられる作品です。

YouTube Shorts に費やす時間はない

ここで厳しいことを言います。YouTube Shorts や TikTok などの短い動画を延々と見ている時間は、あなたの人生において全くの無駄です。

先ほど「才能を探索できるのは学生時代の特権」と述べました。その貴重な時間を、短い動画を見ることに費やしていて良いのでしょうか。短い動画は、見ている間は楽しいかもしれません。しかし、それを見て何か新しい能力が身につきますか?何かが上達しますか?自分の才能を発見できますか?答えはほとんどの場合「No」です。

短い動画を見ることは、才能を探索する活動ではありません。むしろ、才能を探索する時間を奪う活動です。受動的にコンテンツを消費しているだけで、自分自身は何も成長しません。

1日に1時間、短い動画を見ているとしましょう。1年で365時間、10年で3650時間です。3650時間あれば、楽器をかなりのレベルまで上達させることができます。プログラミングでアプリを作れるようになります。スポーツで大会に出られるレベルになれます。外国語を日常会話レベルまで習得できます。

これらの時間を使って色々なことに挑戦していれば、自分の才能がある分野を見つけられたかもしれません。しかし、短い動画を見ることに費やしてしまったら、その可能性は永遠に失われます。

時間は有限です。特に学生時代の時間は、才能を探索するために非常に貴重なものです。「なんとなく楽しい」で時間を浪費するのではなく、「自分の得意を見つけるため」に時間を使ってください。

得意なことが見つからなくても焦らない

ここまで読んで、「でも、自分にはまだ得意なことが見つからない」と不安に思う人もいるかもしれません。それは全く問題ありません。

才能や得意なことを見つけるには時間がかかります。12歳で見つかる人もいれば、20歳で見つかる人もいます。大切なのは、探し続けることです。色々なことに挑戦し続けること。その過程自体が、あなたを成長させてくれます。

また、得意なことは一つである必要はありません。複数の分野で「そこそこ得意」という組み合わせが、あなただけの強みになることもあります。例えば、「プログラミングがそこそこできて、絵も描ける」という組み合わせは、ゲーム開発という分野で大きな強みになります。

焦る必要はありません。しかし、立ち止まっていてはいけません。今日からでも、何か新しいことに挑戦してみてください。

得意なことはそのうち好きになる

人間は「得意なこと」を自然と好きになる傾向があります。

考えてみてください。テストで良い点が取れる科目は好きになりませんか?スポーツで活躍できる種目は楽しくなりませんか?人から褒められること、認められることは、続けたくなりませんか?

得意なことをやると、成果が出ます。成果が出ると、周りから認められます。認められると、嬉しくなります。嬉しくなると、もっとやりたくなります。このサイクルが回ることで、得意なことは自然と好きになっていくのです。

逆に、好きなことでも上手くいかないと、だんだん嫌いになってしまうことがあります。最初は好きで始めたことでも、全然上達しない、成果が出ない、という経験が続くと、モチベーションは下がっていきます。好きだったはずのことが、いつの間にか苦痛になってしまうこともあります。

つまり「得意 → 好き」という流れは起こりやすいですが、「好き → 得意」という流れは必ずしも起こるとは限らないのです。だからこそ、最初から「好き」を追いかけるのではなく、「得意」を見つけることが重要なのです。

まとめ

「好きなことを仕事にしよう」ではなく「得意なことを見つけて、それを仕事にしよう」という考え方を提案しました。

一流になるためには才能が必要です。才能がない分野でいくら努力しても、一流になることは難しい。これは厳しい現実ですが、だからこそ自分の才能がある分野を見つけることが重要なのです。そして、得意なことは自然と好きになります。「得意 → 好き」という順番で考えることで、充実した人生を送れる可能性が高まります。

才能を探索できるのは学生時代の特権です。大人になると、新しいことに挑戦する時間も余裕もなくなります。今この瞬間こそ、様々なことに挑戦して自分の得意分野を見つける絶好の機会なのです。

短い動画を見て時間を浪費するのではなく、新しいことに挑戦してください。自分だけの才能を見つけてください。その才能を磨いて、あなただけの道を切り開いてください。

あなたの人生は、あなた自身の手で作り上げるものです。得意なことを武器に、自分らしい人生を歩んでいってください。